14.
秋田
Akita



さてさて
宮城、青森、福島と旅してきた「つながる東北観光案内」は、
いよいよ秋田までたどり着きました。

秋田はわたしの母の故郷であったため
幼少期は秋田市の祖父母の家に、毎夏のように訪れていていました。




男鹿半島まで従兄弟たちと泳ぎに行き、
はしゃぎすぎて、夜には毎度熱を出していたことも良き思い出です。


その後、働くようになって、しばらく秋田から疎遠になっていた私に、
2012年の冬、Mi amas TOHOKUプロジェクトが
久しぶりに秋田へ旅するきっかけをくれました。

秋田出身の鈴木久美子さんに教えてもらった数々の魅惑的なおすすめスポットから
日本酒好きの私が選び訪れたのは、
秋田駅から電車で1時間ほど南下した、由利本荘市にある、
日本酒の蔵元「
齋彌酒造店」さんでした。



創業の明治35年に建てられた「のぼり蔵」で現在も営業中


この「齋彌酒造店」さんは、2001年に、
日本で初めてオーガニック工場の認定を受けた酒造だそう。

その後も、育てた酵母を最大限生かすために、
日本酒造りならではの櫂入れ
(長い棒の先に小さな板をつけた道具で、酒母や醪をかき回す作業のこと)を廃止したり、
新しい酵母を育ててみたり、
杜氏の高橋藤一さんの日本酒造りヘの、実験的な精神と、好奇心と、真摯な姿勢は、
「ものをつくる」という、とても健全で、シンプルな美しさを
はっと、思い出させてくれたのでした。




Drawing: Hisae Maeda



さてこの「齋彌酒造店」さんの日本酒、
雪の茅舎』は秋田県以外の街でも、大きな酒屋さんなどで購入が可能です。

この旅のあとも幾度となく、『雪の茅舎』を呑んできたのですが、
その度に、酒造見学の最後にいただいた、できたての日本酒の華やかな香りと、
杜氏の高橋さんの透き通った美しい手のことを、思い出します。

冬のこの時期は、まど枠の伊藤幹子さんと、
ココラボラトリー
の笹尾千草さんに教えていただいた、
秋田の郷土料理ハタハタ寿司と一緒にぜひどうぞ。




ハタハタ寿司=秋田ならではのお魚ハタハタを、ご飯、大根、人参などと一緒につけたもの



ああ呑みたい!

秋田から戻り、母に旅のことを話したところ、
まだ若かりし父が、母にプロポーズするために東京から雪の中、秋田まで会いに来てくれた、
という初々しいエピソードを話してくれました。
なんだか自分と秋田とのつながりを強く感じ、
秋田の人たちにもっともっと会いたくなりました。


明日は、「齋彌酒造店」さんと同じ、由利本荘市にお店をかまえる、
〈暮らしの道具と紅茶 みつばち〉の猪股亮子さんのご案内になります。
どうぞお楽しみに!

Mi amas TOHOKU 田部井美奈(kvina) /グラフィックデザイナー


︎15. 秋田 由利本荘   AKITA Yurihonjou